睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS、サスと呼びます)とは、一晩の睡眠中に「1時間当たりの無呼吸または低呼吸の回数が5回以上(AHI≧5と表します)」であることと定まっています。
最大の要因は肥満であること、とされますがその他にも、元々の首や顎周りの構造・飲酒・加齢などさまざまな要因で発症することがわかっています。
次のような症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
昼間の症状
- 眠気がある
- 頭痛や倦怠感/だるさ
- 集中力がない
夜間の症状
- いびき
- 眠るときに呼吸が止まっている
- 夜中にトイレに起きる
- 苦しくて目が覚める
いびきは、気道が閉塞しかかっているサインです。完全に気道が閉塞してしまうと呼吸が止まり、長い方は数分間呼吸が止まっていることがあります。日中起きているときに呼吸を2分間止めることは非常に難しいですが、SASの方はそれ以上の呼吸停止を、一晩に何度も行っていることになり、脳・肺・心臓に対する負担は極めて大きくなります。中等症以上のSAS(AHI≧15)の方は、50歳代以降では5~10人に1人と言われており、非常に身近で危険な病気と言えます。
出典:日本睡眠総合検診協会
また軽度~中度の場合も治療により夜中安眠できるので、生活の質が向上することも大きなメリットです。
少しでも思い当たる方やご家族・パートナーの夜間の症状にお気づきの方は、呼吸器内科にて検査を受けることをおすすめします。
検査について
治療を受ける前に、患者様の症状が無呼吸症候群(SAS)によるものかどうかを確認するための検査が必要です。
当院をご受診いただいた場合は、スムーズにご自宅で検査を受けることが可能です。患者様が検査機器装着方法でお困りの際などにご相談いただける、24時間対応の専用サポート番号もご受診時にお渡ししております。安心して検査を受けていただける環境を整えておりますので、お気軽にご相談ください。
SASと思われる症状がある場合は、まず簡易モニター検査を一晩自宅で着用していただき、「無呼吸・低呼吸指数 AHI≧40」という結果だった場合、無呼吸・低呼吸の頻度が著しく多いということになるため、ご希望があればすぐにCPAP療法を受けることができます。簡易モニター検査の結果AHI<40であった場合でも、より精密な検査であるポリソムノグラフィー(PSG)を一晩自宅で行い、「AHI≧20」の場合は同様にCPAP療法を受けられます。PSG検査はより精密なため、CPAP療法の開始基準(AHI≧20)は、簡易モニター検査によるもの(AHI≧40)より条件が緩和されています。なお、PSG検査でCPAP療法の対象にならなかった方でも、下記のように治療方法はございますので、ご安心ください。
簡易モニター検査
下のイラストのような機械を就寝前にご自身で取り付けて頂き、一晩お休みください。自動的に測定が開始されます。一般的にAHIは睡眠時間における無呼吸・低呼吸数を数えますが、簡易モニター検査の場合は睡眠時間を測定できないため、記録時間(つまり機械装着後、寝入るまでの時間も含まれます)における無呼吸・低呼吸数を数えるため、AHIは低く出やすいです。そうであるにも関わらず、簡易モニター検査のみでCPAP療法を開始するにはAHI≧40という結果でなければならず、実際問題として次のPSG検査まで必要になることが多いです。しかし、簡易モニター検査は費用も安く検査できますので、今でも最初に行うべき検査とされています。
出典:日本睡眠総合検診協会
PSG検査
こちらもご自宅で検査することができますが、簡易モニター検査より装着する工程が少しだけ増えます。これにより、脳波・眼電図・心電図・気流・酸素飽和度などを一晩記録することができ、より正確なAHI結果が得られます。
出典:日本睡眠総合検診協会
治療について
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、CPAP療法・マウスピース療法・体重の減量があります。
CPAP療法
就寝中にマスクを着用し、持続的に空気をのどに送るものです。SASは、息を吸う時に舌がのどの奥に引き込まれることで起こります(一度仰向けになって大きく息を吸ってみて頂くと、舌の根元がのどの奥に引き込まれるのが実感できると思います)ので、空気を送り続けることで、息を吸っても舌が引き込まれて気道が狭くならないようにします。CPAP療法の良い点は、睡眠の質を上げるだけでなく、なかなか改善しない高血圧を良くしたり、将来的な脳卒中や心筋梗塞の可能性を下げたりすることができるところにあります。また、糖尿病の発症リスクを下げるとも言われています。
CPAP療法は、毎日4時間以上は継続して使用する事で、持続的な効果が期待できます。CPAP療法を開始した場合は、皆さまの使用中の睡眠状況が記録され、後日外来でフィードバックすることができますので、定期的な受診をお勧めします。
マウスピース療法
マウスピースによって睡眠中に、したあごが落ち込んで気道を狭くするのを防ぐことができます。CPAP療法の対象は、さきほどお話したように、簡易検査でAHI≧40・PSG検査でAHI≧20という結果が必要なため、日中の眠気などで困っているにも関わらず、使用できないことがあります。そこでマウスピース療法はPSG検査でAHI≧5の方に使用できます(逆に言うと、PSG検査でAHI<5の方は、SASではない可能性が高いです)。この場合、ご希望のもしくは近隣の歯科クリニックと連携し、一人ひとりに合ったマウスピースを作成していただきます。
朝起きた時に熟睡感がないのは、純粋な不眠症というわけではなく、SASの可能性があります。不眠症として睡眠導入剤を飲み始めると、かえってSASの症状が悪化することも考えられます。無呼吸症候群(SAS)の可能性を考えることも大切ですので、まずは呼吸器内科が専門のエフユークリニックまでご相談ください。
お電話でのご予約お問い合わせも受け付けております。