胸部レントゲン検査とは
レントゲン(X線)検査は、X線という放射線を用いた画像診断技術です。X線の人体の透過能力を利用して、外見からは確認できない臓器の状態を確認することができます。
レントゲン検査は、痛みを伴わず短時間で行うことができるため、皆さまにかかる負担がほとんどないという利点があります。
皆さまの中には、「被ばくは心配ないのだろうか?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。確かにX線は放射線を使用しているため、そのような不安を持つことは当然だと思います。放射線被ばく量はmSv(ミリシーベルト)で表しますが、下の表のようにレントゲン検査の被ばく量はあまり多くないことがわります。1年間普通の生活をするだけで、2.1 mSvの放射線を受けますが、レントゲン検査では1回0.06 mSvです。ただし、妊娠中の方は、特に緊急性が高い場合のみレントゲン検査の対象になりますので、現在妊娠中の方だけでなく、妊娠の可能性がある方も事前にご相談ください。
出典:環境省
当院では、例えば咳が数日以上続く方にはレントゲン検査をお勧めすることが多いです。確かに、純粋な風邪の結果として咳が起きている場合もありますが、多くの方を診察していますと咳が続いており気管支炎・肺炎といった追加の治療が必要な状況になっている方にしばしばお会いします。さらに、レントゲン検査はぜんそくやCOPDといった咳が続く他の病気が考えられる方にも必須の検査です。
当院ではもちろん、被ばく量が少ないからという理由で無用なレントゲン検査を行うことはありませんのでご安心下さい。
また、レントゲン検査では肺だけでなく心臓・大きな血管・骨・皮膚の下・腸などの状態も確認することができます。レントゲン検査というと「肺」の検査というイメージが強い方も多いと思いますし、実際にほとんどの場合はその通りです。ただし、レントゲン検査の結果、下記のような病気がみつかるきっかけになることも多くありますので、体に何かしらの不調がある方がレントゲン検査をして間違いということは基本的にありません。
心臓
心臓の動きが弱くなる心不全という病気では、息苦しさや足のむくみが出てきます。
大血管
主に大動脈という、体の中心を走る最も太い血管を指します。血管が膨らむ大動脈瘤(りゅう)や、大動脈解離(かいり)という血管の壁が裂けてしまう病気がわかることがあります。
骨
肺のレントゲン検査では肋骨、鎖骨、肩甲骨なども一緒に確認できます。レントゲンを当てる場所を変えれば、体中どこの骨でも確認することができ、骨折がないかがわかります。
皮膚
例えば発熱の原因が、蜂窩織炎や筋膜炎といった皮膚の下の炎症であるということも時にあり、レントゲン検査も有用な場合があります。
腸
お腹の痛み、便秘・下痢などで腸のレントゲン検査をすることで、腸閉塞・膵炎・慢性便秘などの病気が見つかることがあります。
もっとも多い胸部レントゲン検査で私たちが主に確認するのは下記の項目です
肺炎、肺結核、間質性肺炎、COPDなどの肺疾患
肺がんや肺転移の発見
胸膜炎、胸水、気胸などの胸膜病変
心臓の大きさや形の異常
胸部の骨折
胸部レントゲン検査を受けるべき方
上でお話ししたように、レントゲン検査を受ける理由に制限はありませんが、以下のような症状や状況の方は特に胸部レントゲン検査を推奨します。
呼吸器/心臓の症状(咳、喀痰、息切れ、胸痛など)がある場合
高熱や全身のだるさなど、感染症状がある場合
既往歴や職業歴から肺疾患の危険性が高い場合
健康診断や定期検診で異常を指摘された場合
当院での胸部レントゲン検査
2023年導入のデジタルX線装置は最新のモデルなので高解像度で患者様の状態を確認することが可能です。これにより正確な診断をサポートします。
当院では、最新のDRシステム(デジタルラジオグラフィーシステム)を導入しており、撮影後すぐに診察室でデジタル画像を確認することができます。DRシステムは、透過したX線をデジタル信号に変換して画像化するシステムです。これにより、レントゲン画像にデジタル処理を行えるため、検査結果をより正確に判別することが可能です。特にレントゲン検査では、以前撮影した状態と現在の状態の差異が非常に重要になる場合があります。このシステムは、初期病変を見つける際や、定期受診される患者様の肺の経時的変化(時間の経過に伴って表れる変化)を捉える際にも有用です。デジタル処理により過去の画像と比較することで、精密な判別が可能となります。
当院では「小さな病変も見逃さない」ように、様々な最新の機器を取り入れておりますが、医師の正しく読影する目を鍛えることにも力を入れています。最新のレントゲン撮影装置/DRシステムに加えて、医師たちは定期的にカンファレンスを行い、読影技術のさらなる向上に努めています。詳しくは、ご挨拶ページのカンファレンスの項目をご覧ください。
胸部レントゲン検査は、呼吸器内科の診断に特に重要な役割を果たします。当クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添い、適切な検査と治療を提供することをお約束いたします。お気軽にご相談・ご予約ください。
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